BLUE STAR|ブルースターマガジン

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ブルースターマガジン2015年春号にてご紹介させていただいた、清里フォトアートミュージアム(以下:K*MoPA)が主催するヤングポートフォリオ展(以下:YP)。35歳以下ならプロアマを問わず応募でき、ポートフォリオが購入されれば永久収蔵される世界で唯一の写真公募企画である。開館当初より開催され、昨年20周年を迎えた。若き才能の発信、発掘と初期作品の記録保存を目的としている。年々、海外からの応募は増えており、昨年度は32カ国から応募が寄せられ、購入作家の割合は国内16名に対し、海外20名と国内の購入作家数を上回る。(記事末に展覧会詳細とデータを記載)

今回は2014年度、購入が決まった作品の収蔵証書授与式に招いていただいた。全員とまではいかないが、36名の購入作家の中から半数以上の19名が、世界各国から山梨清里の地に集まった。

YPでは細江英公 館長をはじめ、日本を代表する写真家3名による厳正な審査が行われる。審査員3人全員が承諾した作品のみK*MoPAが一点3万円で購入する。単品ではなく、ポートフォリオ(作品集)での応募になるため、数多く購入されれば若き写真家たちの活動資金において役にたつはずだ。しかし、ヤングポートフォリオ展においては購入金額よりも、作品が永久収蔵されることの意義が大きい。写真家にとっても自信となり、箔がつく。また、年齢やキャリアを重ねてからでは撮ることのできない、作家としての熱、初期衝動を温度と湿度管理された環境下で後世のために記録し保存することをK *MoPAでは重要と捉え、若き作家の背中を支えているのである。

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昨年度の審査を務めた、館長他、森山大道 氏、瀬戸正人 氏は証書を授与された作家たちの作品を改めて見て、総評した。日本を代表する写真作家の3人それぞれの生きた声を聞き、その感性を垣間のぞき見ることができる貴重な機会だ。列席した写真作家も興味津々と言葉に耳を傾けていた。

授与された写真作家たちは作品についてスピーチを行う。ウクライナから来たセルゲイ・レヴェディンスキーさんや韓国のRUNAさん、他にも多国籍な面々が、各々の写真作品に込められた思いを語った。個性豊かな作品と並び、写真作家1人1人の語り口も特徴があって面白い。制作者の言葉を聴き、作品の細かなディテールとバックボーンを知ることは、ひとつの写真に綴られている物語を深く味わうことができる。国の状勢や文化を色濃く反映していることを見てとれるのは、多様な国から応募があるYPならではの特色だ。

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細江英公館長は、K*MoPA、ひいてはYPの世界拡大という夢を抱いている。閉式に伴い、しめくくりの辞を述べた森山大道氏の横に立ち、「ともにこの素晴らしいプロジェクトを世界に発信しましょう。山梨から世界へ」と力強く宣言した。YPは、作家の背を支えるだけでなく、よりよい作品を撮り続ける情熱を持った写真作家に対し広く門戸を開き、若い才能が世界へとはばたくその背中を押してくれる。一度収蔵された作家であってもYPでは35歳までなら何度でも応募が可能だ。より高いレベルでの、継続的な作品制作のバイタリティにつながる。今年度の作品募集も終了し、これから審査が行われる。写真表現を通して発掘される新たな才能を見る日が、今からすでに待ち遠しい。

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昨年度は地元山梨の作家、高島空太さん、隣接する長野から山口雄太郎さんの2名も収蔵作家として作品が選出された。作品の性質も、作家の性格もまるで違う。対照的、だが同じ写真を表現手段に、各々が見る世界を撮る2人の若き写真家を次号のブルースターマガジン2015年夏号でご紹介する。

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2014年度ヤング・ポートフォリオ展(第20回)

会 期:2015年3月21日(土・祝)~6月21日(日)
休館日:毎週火曜日
主 催:清里フォトアートミュージアム

2014年度ヤング・ポートフォリオ(第20回)データ 
選考委員:森山大道、瀬戸正人、細江英公(館長)

作品募集期間:2014年4月15日~5月15日
応募者数:275人(世界32カ国より) 応募点数:6035点
購入者数:36人(国内16人・海外20人)購入点数:168点(全作品を展示いたします)
●1995年度から2014年度までに作品を収蔵した作家の総数:723人(45カ国)総作品点数:5460点
同時展示
●選考委員の初期作品 森山大道・瀬戸正人・細江英公
●YPOB(卒業生)作品 野口里佳・元田敬三・石塚元太良

清里フォトアートミュージアム オフィシャルウェブサイト

 

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