BLUE STAR|ブルースターマガジン

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山梨県北杜市高根町にあるギャラリートラックスにて、写真家、高島空太の個展が土日限定で3月6日まで開催されている。山梨出身の気鋭の写真家が撮る「ざわつき」という世界観。この世界に自分が存在しているという確信が得られない不安に包まれる中で、ふと見出す安堵の瞬間。それを彼は「ざわつき」と呼んでいる。モノクロ、セピア調でプリントされた作風と相反し不思議と見る者に、色鮮やかな感情を抱かせる。自分自身がこの世界に本当に存在しているのかという検証を、彼は写真とカメラを使いひたすらにひたむきに追求しているのだ。偶然に発見した「ざわつき」の一瞬を、意図的に再現し写真に収める手法を取っている。過去、ブルースターマガジン本誌でも取材させてもらったが、高島空太は清里フォトアートミュージアムK MOPAが開催するヤングポートフォリオ2014で収蔵作品に選ばれたほか、遡って2012年には キャノン写真新世紀2012 佳作入賞を果たしている。昨年2015年は新宿ニコンサロンにて個展を開催。春の大阪巡回展を前に、山梨での展示を行うこととなった。

現在、東京吉祥寺にて同居している叔父の影響でテクノミュージックに通じており、ドイツベルリンには思い入れがあるようだ。ヤングポートフォリオ収蔵作品制作の際は憧れの地であるベルリンに渡り、現地の交遊から得た情報から、トルコのサハラ砂漠へと足を伸ばして撮影を敢行した。また、ベルリンで結成され、拠点を京都の山村に移し、各方面から注目を集めるテクノバンド「アポテケ」と親交がある。彼らの活動やポートレートを写真に収めており、ウェブサイトのトップを飾っている。

レセプションが行われた2月初旬。ギャラリートラックスの周辺はまだ雪に包まれている。外気は冷え込み、鋭く肌に刺さる。薪ストーブであたためられたギャラリー内にはたくさんの手料理と人で溢れていた。子どもから年配の方まで、高島空太と交流のある人々が多く集まった。高島空太はその作風から暗いイメージが伴うかもしれない。しかし、実際、底抜けに明るい人物だ。イメージと実際の印象が異なるという点で人となりがそのまま作品に通じている。彼を慕う人々は多い。子どもにも大人にも大人気。忙しく挨拶して回る彼を見つけ、再会を果たした。互いに笑顔で握手をし、積もる話しに花を咲かせている途中、この日のライブが始まる。ギャラリートラックスと長年の交流があるアーティスト TAKAKO MINEKAWA & DUSTIN WONG 。各々の経歴もさることながら、ユニットとしてフジロックフェスティバルにも出演しているアーティストだ。山梨でライブをするのは10年ぶりだという。

TAKAKO MINEKAWA & DUTIN WONG on SOUND CLOUD

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実は、この日のレセプションはギャラリートラックス創設者でありインテリアデザイナー 故 木村二郎氏の追悼も兼ねていた。亡くなられて12年。数え年で13回忌になる。若手アーティスト発信のために氏が創設したギャラリートラックス。時を経て縁の深い写真家とアーティストが一堂に会した。高島空太の写真が並ぶ空間に包まれながら奏でる2人の美しい音色に、目を閉じて身を任せた。エレクトロニカとアコースティックの幻想的なハーモニー。おびただしい数のエフェクターに繋がれたギター、マイク、キーボードから、即興的に音が積み上げられていく。水面に水彩塗料の雫を一滴垂らしたように、じんわりと広がってトラックスに響き渡る。作品とともに、1枚、木村二郎氏の遺影が掛けられていた。ライブの後、来廊した1人1人が遺影の前にキャンドルを手向け、祈った。このレセプションの日、高島空太の言う「ざわつき」が起こるのを確かに体感したのだと思う。不思議なほどに心が安らぎ満たされていたからだ。おそらく木村二郎氏の魂もそこにあり、同様に鎮められたのではないだろうか。遺影の木村二郎氏は、優しく微笑んでいた。

TEXT:Tomohisa MOCHIZUKI

Kuta TAKASHIMA WEB SITE

高島空太写真展 ざわつき2016

会場
Gallery Trax
http://www.eps4.comlink.ne.jp/~trax/main/top.html
http://gallerytrax.tumblr.com/ 

山梨県北杜市高根町五町田1245
電話 / 080-5028-4915
メール / trax@eps4.comlink.ne.jp

アクセス
http://www.eps4.comlink.ne.jp/~trax/access/access2.html

2016年 2月6日(土)-3月6日(日) 最終日は15:00まで
Opening Reception : 2016 年2月7日(日) 15:00∼
*OPEN / 11:00 - 17:00
*冬期のため土・日曜日のみ開廊

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